「千年の一滴 だし しょうゆ」の感想とドキュメンタリーについて
「千年の一滴 だし しょうゆ」見てきました。
一時間くらいのドキュメンタリーかなーと思ってたら凄い長い、100分でしたΣ(・ω・)
第一部「だし」では焼山で椎茸を育てるお婆さん、鰹をとる漁師、鰹節にする職人、昆布を穫るために夏の間海辺に過ごすお婆さん、昆布を穫る漁師一家…そして「だし」が何故発展していったかの精進料理の始まる歴史へと遡り、それが現代の京都の料亭で使われている様子に繋がり丁寧に紹介してありました。
昆布を天日干ししてからの湿日?の時に外に出して臭みをとり旨味を出すとか、椎茸を栽培するのに木に耳をあて樹液のながれる音を聞いて時期を計ったり、菌や胞子が活躍したり。
第二部「しょうゆ」では酒蔵と醤油屋、種麹や(もやし屋?)の一子相伝で麹菌を守り続ける種麹屋の研究室とか、菌の研究をしている教授の「日本にしかいない菌」の話など興味深い語りでした。
蒸した大豆に麹菌を撒き、熱くなりすぎると死んでしまうから手で温度を計って混ぜる。また樽に入れた後、混ぜる時に空気触れすぎると死んでしまうのでやさしく。
若い枯れた椿の枝を焼いて菌をゲットしたり、豊作の稲についている稲霊から実は麹菌がとれる、日本のオリゼーには毒をだすDNAがなく核が多数ある・それは日本の種もやし屋が自力で作り上げたのでは…等知らなかったことばかり。
昔からの仕事が、研究が進み解明されてきた昨今どんなに凄かったかが分かる。それを感覚でやってきた先人たちに感心するばかりです。ミクロの世界の映像も美しい。
過去から現在へと続く営みを分かり易くまとめた作品で、食育の授業に流すのに最適っぽい。
ただ、ドキュメンタリーと思って見ると、監督の主張があまりに見えなさ過ぎて「まさに教育番組」といった印象を受けました。アクが無くて受け入れ易い反面、物足りなかったなぁ…と。
主役は「菌」「カビ」「胞子」であり「人間」だから、芯は間違いなくそこなんですが。
「へえ、和食ってすごい」で終わってしまうのではと危機感も覚えました。
和食を繋いで行こう、大事にしていこうという要素は直接的には見えなかった(多分テーマはそこじゃない)
他の若手ディレクターから「時事的な問題がほとんど出てこなくて普遍的なテーマを扱っている」と声があったり「このだしはこんなにすごい所で作られ、手間ひまかけて作られてるんですよ、という『美食』番組的に見えてしまう所が気になった」との声をtwitterで見かけましたが、一方「食を通じて自然の営みと人の関わりを描きたい」「家庭科の授業で流して欲しい」という監督の話も聞くと、この作りが監督の正解なのかな、とも思う。
何件もドキュメンタリーを作られているからこそ、到達した作品なのかもしれない。
私自身が原爆の話をずーーーっとやっている所為か、「原爆の話を出して、それで終わり」な事に『このまま進んで行くと被爆者もいなくなって継承どころでなく風化してしまうんじゃないか』『じゃあ誰か巻き込んでやるにはどうすればいいのか』という他者にいかに影響を与える作品が良いもののように感じているからかな。
ドキュメンタリーって奥深い。 2016年の「全国高等学校総合文化祭」は広島で開催されるのですね。
五日市高校の荷宮先生が放送部門代表のようで、今年のドキュメンタリーも期待です。
あの先生は生徒自身に考えさせるよう突き放すから、生徒は大変だと思いますが|ω・)フフフ 2作目「ヒロシマを生きた少女の話」の作画は一向に進んでおりませんが、3作目のネームプロットにとりかかっております。やれる気分の時にやれることをする(`・ω・´)
3作目は男性主人公だから、1・2作目みたいに「少女」でキャッチーだった部分が無くなり、成人男性視点でどこまで共感を得られるか、興味をもってまず「読もう」と思わせるにはどういった漫画構成にすればいいのか…と考えながらぼちぼち頑張ってます。 Web拍手ありがとうございました!
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